監修
北岡 裕章 先生

(高知大学医学部老年病・循環器内科学 教授)

心アミロイドーシスの診断 心電図

心電図検査は低侵襲で簡便な検査であり、心電図異常が心アミロイドーシスの診断への入り口となることも少なくありません。心アミロイドーシスでは、アミロイド蛋白の沈着が間質や刺激伝導系に起きることによって、低電位、偽梗塞パターン、伝導障害、心房細動などの心電図所見が認められます。

しかし、いずれも心アミロイドーシスに特異的ではない点や、それらの所見の陽性率は病期や重症度によって異なるため、早期には心電図異常を認めないこともあります。また一部の所見は、アミロイドーシスの病型によって陽性率が大きく異なることも重要です。基本的には進行性の疾患であることから、心電図異常を認めない例でも定期的に心電図のフォローを行い、経時的変化を評価していくことが重要です。

心アミロイドーシスで認められる、おもな心電図所見とその陽性率

病型 低電位 偽梗塞パターン 房室ブロック 心房細動
AL 23~64% 15~69% 15~26% 6~32%
ATTRwt 13~40% 18~71% 11~33% 27~67%
ATTRv 23~38% 18~69% 25~45% 5~17%