監修
安東 由喜雄 先生

(長崎国際大学薬学部アミロイドーシス病態解析学分野 教授、副学長/
熊本大学 名誉教授/熊本大学病院臨床研究部 客員教授)

遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)の症状/所見

遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)は、全身性のアミロイドーシスであり、感覚・運動型のポリニューロパチーをはじめ、心症状、自律神経症状、消化器症状、腎症状、手根管症候群、眼症状など多様な症状/所見が様々な組み合わせであらわれるようになります1

遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)の症状/所見

主な症状

ポリニューロパチー

一般に、小径線維ニューロパチーの形で発症することが多く、温・痛・触覚、運動の順に侵されます。いわゆる解離性感覚障害を呈することが多くなります。

心症状

心臓はアミロイド沈着の好発臓器の一つです。刺激伝導系や心筋へのアミロイド沈着により、心電図の低電位や房室ブロック、重篤な不整脈、心肥大、心不全などを呈します。

自律神経症状/消化器症状

自律神経系の機能不全によって、下痢や便秘、嘔吐などの消化器症状、起立性低血圧による失神や発汗障害、唾液・涙液の分泌低下、男性では勃起不全などがあらわれます。進行すると交代制下痢・便秘や膀胱直腸障害など多様な症状を呈するようになります。

腎症状

アミロイド沈着による腎機能障害により、タンパク尿やクレアチニンクリアランス低下、進行するとネフローゼ症候群がみられるようになります。

手根管症候群

手根管症候群は、手根管部で正中神経が障害されることによって、上肢の感覚異常や正中神経支配筋の脱力・筋萎縮を生じる症候群です。両側性の手根管症候群の患者が、他の臓器の症状を合併している場合は、アミロイドーシスの検査をすることが望ましいとされています。

眼症状

TTRは主に肝臓で産生されますが、一部は網膜の色素上皮細胞からも産生されます。そのため、アミロイド沈着による視覚障害は本疾患に多く認められます。特に、高齢発症の患者では、硝子体混濁や緑内障などによる視力低下が初発症状となることがあります。

引用文献

  1. Ando Y, Coelho T, Berk JL, et al. Orphanet J Rare Dis. 2013;8:31-49.