監修
山下 太郎 先生

(熊本大学病院 脳神経内科 特任教授)

遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)における臓器障害を評価するための検査法

遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)では、発症初期には単一臓器の障害であっても、経過とともに多臓器の障害があらわれることが多いため、定期的な検査が必要となります。

本疾患の臓器障害を評価するための主な検査法と、障害がある場合の主な所見は以下の通りです。

  主な検査 障害がある場合の主な所見
ニューロパチー 主な検査神経伝導検査 障害がある場合の主な所見軸索障害型ニューロパチー
・早期例:感覚神経活動電位の低下
・進行例:複合筋活動電位の低下
主な検査定量的感覚検査 障害がある場合の主な所見温度覚、痛覚閾値の低下
触覚、振動覚の低下
主な検査腱反射 障害がある場合の主な所見腱反射の減弱、消失
自律神経障害 主な検査心電図R-R間隔検査 障害がある場合の主な所見R-R 間隔変動係数(CVR-R)の低下
主な検査起立試験(Schellong試験) 障害がある場合の主な所見起立性低血圧
心症状 主な検査心電図検査 障害がある場合の主な所見房室ブロック
洞不全症候群
主な検査胸部X線検査 障害がある場合の主な所見心胸郭比の増大
主な検査心エコー検査 障害がある場合の主な所見心室壁の肥厚
心筋内顆粒状光輝(granular sparkling sign)
主な検査CT、MRI検査 障害がある場合の主な所見心室壁の肥厚
拡張障害
主な検査血液検査 障害がある場合の主な所見BNP値、NT-proBNP値、トロポニンT値 上昇
主な検査99mTc-ピロリン酸心筋シンチグラフィ 障害がある場合の主な所見心筋への異常集積像
腎症状 主な検査尿検査 障害がある場合の主な所見タンパク尿 陽性
主な検査血液検査 障害がある場合の主な所見血清クレアチニン値 上昇
眼症状 主な検査眼科的検査 障害がある場合の主な所見硝子体混濁
緑内障
栄養状態 主な検査血清アルブミン値、体重、身長 障害がある場合の主な所見mBMI[血清アルブミン値(g/L)×BMI(kg/m2)]の低下

また、臨床症状として、手足のしびれや疼痛、下痢・便秘、悪心・嘔吐、浮腫などの程度を定期的に観察することも、病態の把握や治療効果の評価に有用と考えられます。