- 監修
- 安東 由喜雄 先生
(医療法人 杉村会 杉村病院 総長アミロイドーシス診療・研究サポートセンター長、長崎国際大学 薬学部 アミロイドーシス病態解析学寄付研究所特任教授、熊本大学名誉教授)
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP) 発症機序
TTRとは
TTRは127個のアミノ酸からなるタンパク質であり、主に肝細胞で産生されます(循環血中TTRの95%超が肝臓由来)。通常は、四量体を形成して血中に存在するタンパク質で、循環血中の全TTRのうち約半分が非結合形であり、残りは主にサイロキシン(T4)やビタミンA輸送タンパク質であるレチノール結合タンパク質(RBP)と複合体を形成します。
- 遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)および野生型ATTRアミロイドーシスの前駆タンパク質
- 現在までに150以上の遺伝子変異型が報告
- 主に肝臓で産生(一部、脳脈絡叢、網膜、膵α細胞でも産生)
- 生体内では四量体を形成し、主にサイロキシン(T4)やビタミンA輸送タンパク質であるレチノール結合タンパク質(RBP)と複合体を形成
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)の発症機序
野生型TTRの四量体は非常に安定な構造をしているため容易に解離しません。しかし、TTR遺伝子の変異や様々な要因によって、産生されたTTRタンパク質の四量体形成が不安定になると、TTRのサブユニットが単量体に解離します。
単量体となったTTRは、適切に折りたたまれなかったり(ミスフォールディング)、一部が分解されたりしたものが自己集合してアミロイド線維となり、末梢神経や心臓、自律神経系、消化管、腎臓、眼などの様々な組織・臓器の細胞外間隙に沈着・蓄積して多様な臓器障害を引き起こします。