- 監修
- 小池 春樹 先生
(佐賀大学医学部 内科学講座 脳神経内科 教授)
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)の主な臨床経過
臨床経過1
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)では、感覚障害、運動障害、自律神経障害に伴う消化器症状や起立性低血圧、心症状、眼症状など、様々な症状/所見を呈します。
本疾患におけるニューロパチーは、一般に下肢遠位部からしびれ感などの異常感覚や感覚麻痺といった感覚神経障害で始まります。これに続いて、運動神経障害による筋力低下や筋萎縮が生じます。
障害される神経別にみたニューロパチーの主な症状/所見
感覚神経障害 |
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運動神経障害 |
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自律神経障害 |
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なお、感覚神経障害は、左右対称性の下肢から上行する“glove and stocking type (手袋・靴下型)”で、胸腹部、顔の順に進行します2。
FAPステージ分類
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)の病期を示す尺度としては、歩行補助具の必要性など、主に歩行能力に基づいて分類されるFAPステージ分類3,4があります。
各病期から次の病期に進行するまでの推定期間は、ステージⅠで5.6±2.8年、ステージⅡで4.8±3.6年、ステージⅢでは2.3±3.1年であることが報告されています3。
引用文献
- 安東 由喜雄 監修. 最新 アミロイドーシスのすべて. 第1版. 東京: 医歯薬出版; 2017:53-54.
- 鈴木 則宏 シリーズ監修, 神田 隆 編集. 神経内科Clinical Questions & Pearls末梢神経障害. 東京: 中外医学社; 2018:96-106.
- Adams D. Ther Adv Neurol Disord. 2013;6:129-139.
- Ando Y, Coelho T, Berk JL, et al. Orphanet J Rare Dis. 2013;8:31