監修
北岡 裕章 先生

(高知大学医学部老年病・循環器内科学 教授)

心アミロイドーシスの診断 採血検査

ALアミロイドーシス

ALアミロイドーシスの診断では、血液あるいは尿中におけるM蛋白の検出が重要になります。

M蛋白の検出には、血清免疫固定法、血清フリーライトチェイン(FLC)および尿免疫固定法の実施が推奨されています。免疫固定法は免疫電気泳動法より検出感度が高く、血清FLCでは絶対値やκ/λ比で評価するよりは、上昇している病的なFLCと上昇していないFLCの差(difference FLC: dFLC)を評価します。とくにdFLC≧50mg/Lの場合には、治療効果判定にも有用とされています。

ATTRアミロイドーシス

ATTRアミロイドーシスの診断の一助となりうるバイオマーカーとして、心筋障害のマーカーである心筋トロポニンや心不全のバイオマーカーであるナトリウム利尿ペプチド(BNP/NT-proBNP)などの有用性が報告されています1,2

心筋トロポニン

心筋トロポニンの上昇は急性心筋梗塞の診断に用いられていますが、心アミロイドーシスでも心筋トロポニンが持続的に上昇していることが報告されており、Red flagの1つです

心アミロイドーシス群(ALおよびATTRを含む)は、心筋生検によって心アミロイドーシスが否定された左室肥大症例(対照群)と比較して高感度心筋トロポニンT値が有意に上昇していることが報告されています(対照群(中央値)0.018ng/mL、心アミロイドーシス群(中央値)0.048ng/mL)1

ナトリウム利尿ペプチド

BNPおよびNT-proBNPは心不全のスクリーニングや診断、予後予測に汎用されるバイオマーカーです。

ATTRvアミロイドーシスで心症状が出現する前からNT-proBNPが上昇しており、その上昇は心臓病変の検出に有用であったと報告されています2

心アミロイドーシスを疑ったときの採血検査の推奨とエビデンスレベルは、以下の通りです。

心アミロイドーシスを疑ったときの採血検査の推奨とエビデンスレベル

  推奨
クラス
エビデンス
レベル
  Minds
推奨
グレード
Minds
エビデンス
分類
アミロイドーシス診断補助のための高感度トロポニンの測定 IIa C   C1 IVb
アミロイドーシス診断補助のためのBNP/NT-proBNPの測定 IIa C   C1 IVb
ATTRwtアミロイドーシス予後評価のための高感度トロポニンの測定 IIa C   C1 IVb
ATTRwtアミロイドーシス予後評価のためのBNP/NT-proBNPの測定 IIa C   C1 IVb
ALアミロイドーシス診断のための血清免疫グロブリンの測定 I A   A IVb
ALアミロイドーシス診断のための血清および尿免疫固定法(または電気泳動) I A   A IVb
ALアミロイドーシス診断のための血清遊離軽鎖(FLC)測定 I A   A IVb
日本では心アミロイドーシス診断に対して保険適用はない。

引用文献

  1. Takashio S, Yamamuro M, Izumiya Y, et al. ESC Heart Fail. 2018;5(1):27-35.
  2. Klaassen SHC, Tromp J, Nienhuis HLA, et al. Am J Cardiol. 2018;121(1):107-112.