- 監修
- 関島 良樹 先生
(信州大学医学部 神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)
末梢神経 神経障害スコア(NIS)
神経障害を評価します。
概要
NISは、運動機能/筋力低下(NIS-W)、腱反射(NIS-R)、感覚(NIS-S)、の3つのコンポーネントから構成されます。
全部で37項目あり、身体の右側と左側のそれぞれで評価します。
3つのコンポーネントで算出されたスコアの合計が高いほど、神経機能が障害されていることを意味します。
また、NISの中で下肢の評価に重点をおいた14項目に限定したものをNIS-LL(NIS-Lower Limbs)といい、NIS-LLの合計スコアが高いほど、下肢の神経機能が障害されていることを意味します。
NISスコアの概要1-4
(青字はNIS-LLのスコアを示す)
コンポーネント | 点数 | 評価する身体領域、神経 | |
---|---|---|---|
NIS 0~244点 (0~88点) |
運動機能/筋力低下(NIS-W) | 0~192 (0~64) |
|
腱反射(NIS-R) | 0~20 (0~8) |
|
|
感覚(NIS-S) | 0~32 (0~16) |
|
主な所見
スコアの上昇
評価頻度(目安)
ベースライン時、その後は12ヵ月に1回
評価上のポイント
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)患者を対象にNISとPNDスコアおよびFAPステージの関係を検討したところ、NISが高いほどPNDスコアおよびFAPステージが高かったことが報告されています5。
NISが32点(中央値)であった遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)患者を対象にした検討では、NISは年間14.3点上昇すると推計されています5。対照的に、糖尿病性ポリニューロパチー患者を対象にしたプラセボ対照臨床試験では、プラセボ群におけるNISの増加(平均)は2年で0.12点、4年で0.61点であったことが報告されています6。
NISスコア表1-4
①運動機能/筋力低下は0~4点までの8段階、②腱反射および③感覚は0~2点までの3段階でそれぞれ評価してください。
0.00点: | 正常 |
---|---|
1点: | 25%低下 |
2点: | 50%低下 |
3点: | 75%低下 |
3.25点: | 重力に抗して可動できる |
---|---|
3.5点: | 重力に抗して可動できるが制限がある |
3.75点: | 筋力の収縮のみで、可動しない |
4点: | 麻痺状態 |
0点: | 正常 |
---|---|
1点: | 減弱 |
2点: | 消失 |
50~69歳の患者さんの場合、アキレス腱反射の減弱は0点、消失は1点とする。
70歳以上の患者さんの場合、アキレス腱反射の消失は0点とする。
0点: | 正常 |
---|---|
1点: | 減弱 |
2点: | 消失 |
NIS評価シート
エクセル版では、合計スコアを自動的に算出することができます。
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引用文献
- Dyck PJ, Turner DW, Davies JL, et al. Can J Neurol Sci. 2002;29(3):258-266.
- Dyck PJ, Boes CJ, Mulder D, et al. J Peripher Nerv Syst. 2005;10(2):158-173.
- Dyck PJB, González-Duarte A, Obici L, et al. J Neurol Sci. 2019;405:116424.
- Bril V. Eur Neurol. 1999;41(suppl 1):8-13.
- Adams D, Coelho T, Obici L, et al. Neurology. 2015;85(8):675-682.
- Ziegler D, Low PA, Litchy WJ, et al. Diabetes Care. 2011;34(9):2054-2060.
Supervision : Yoshiki Sekijima -Department of Medicine (Neurology and Rheumatology), Shinshu University School of Medicine-