- 監修
- 関島 良樹 先生
(信州大学医学部 神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)
消化管/自律神経 アルブミン、体重、BMI、mBMI
栄養状態を評価します。
概要
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)患者では、重度の胃腸症状や心疾患が一因となり、栄養不良および体重減少がみられます。
mBMIは、BMI(体重、身長)と血清アルブミン値から算出され、数値が高いほど、栄養状態が良いことを意味します1,2。
主な所見
数値の低下
評価頻度(目安)
いずれもベースライン時、その後は3ヵ月に1回
評価上のポイント
ATTR心アミロイドーシス患者300例(変異型:103例、野生型:194例)を対象とした検討では、mBMI高値 (≧1,185kg/m2×g/L)に比べて、低値(<1,185kg/m2×g/L)で死亡までの期間が短かった(6.8年 vs. 5.4年)ことが示されています3。
心不全患者では、BMIが高いほど死亡率が低かったことが報告されています(BMI<18.5:45%、BMI 18.5-24.9:37.8%、BMI 25.0-29.9:32.4%、BMI≧30.0:28.4%)4。
参考情報
アルブミン<基準値>5
4.1~5.1g/dL |
BMIによる肥満度分類6
BMI<18.5kg/m2 | 低体重 |
---|---|
18.5kg/m2≦BMI<25.0kg/m2 | 普通体重 |
25.0kg/m2≦BMI<30.0kg/m2 | 肥満(1度) |
30.0kg/m2≦BMI<35.0kg/m2 | 肥満(2度) |
35.0kg/m2≦BMI<40.0kg/m2 | 肥満(3度) |
40.0kg/m2≦BMI | 肥満(4度) |
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アルブミンの低下は高熱や炎症、その他の疾患でも起こり得ます。米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)からは、「アルブミンは栄養状態を示すものではなく炎症を示すものである」との声明が発表されています7。
低栄養の診断基準:GLIM criteria8
表現型(phenotypic) | ||
---|---|---|
意図しない体重減少 | 低BMI(kg/m2) | 筋肉量減少 |
□
>5%:過去6ヵ月以内
または □ >10%:過去6ヵ月以上 |
□
<20:70歳未満
□
<22:70歳以上
<アジア> □ <18.5:70歳未満 □ <20:70歳以上 |
□
筋肉量減少(DXA、BIA、CT、MRIなどで測定)
<アジア> □ 筋肉量減少:人種による補正(上腕周囲長、下腿周囲長などでも可) |
原因(etiologic) | |
---|---|
食事摂取量減少/消化吸収低下 | 疾患による負荷/炎症の関与 |
□
食事摂取量≦50% (エネルギー必要量の):1週間以上 または □ 食事摂取量の低下:2週間以上の持続または □ 食物の消化吸収障害:慢性的な消化器症状 |
□
急性疾患や外傷による炎症
または □ 慢性疾患による炎症 |
表現型と原因の、それぞれ1つ以上に該当
低栄養
重症度判定 | |||
---|---|---|---|
表現型 | 体重減少 | 低BMI(kg/m2) | 筋肉量減少 |
ステージ1:中等度低栄養 | □ 5~10%:過去6ヵ月以内 □ 10~20%:過去6ヵ月以上 | □ <20:70歳未満 □ <22:70歳以上 | □ 軽度~中等度の減少 |
ステージ2:重度の低栄養 | □ >10%:過去6ヵ月以内 □ >20%:過去6ヵ月以上 | □ <18.5:70歳未満 □ <20:70歳以上 | □ 重度の減少 |
- DXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)
- 二重エネルギーX線吸収測定法
- BIA(Bioelectrical Impedance Analysis)
- 生体電気インピーダンス法
引用文献
- Ando Y, Coelho T, Berk JL, et al. Orphanet J Rare Dis. 2013;8:31.
- Suhr O, Danielsson A, Holmgren G, et al. J Intern Med. 1994;235(5):479-485.
- Driggin E, Helmke S, De Los Santos J, et al. Amyloid. 2020;27(2):73-80.
- Curtis JP, Selter JG, Wang Y, et al. Arch Intern Med. 2005;165(1):55-61.
- 日本臨床検査医学会 ガイドライン作成委員会 編集. 臨床検査のガイドライン JSLM2015. 第1版. 東京:宇宙堂八木書店; 2015.
- 日本肥満学会. 肥満症診療ガイドライン2016. 東京:ライフサイエンス出版; 2016. を参考
- Evans DC, Corkins MR, Malone A, et al. Nutr Clin Pract. 2021;36(1):22-28.
- Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. より作図