監修
関島 良樹 先生
(信州大学医学部 神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)

末梢神経 神経伝導検査

末梢神経障害を評価します。

概要

  • 神経伝導検査(nerve conduction studies:NCS)は、末梢神経を皮膚上で電気刺激することで誘発された電位を記録し、伝導速度や振幅などを測定します。

  • 運動神経刺激によって筋肉で誘発される波形を検査する運動神経伝導速度(motor nerve conduction velocity:MCV)検査と、感覚神経自体の電位の波形を検査する感覚神経伝導速度(sensory nerve conduction velocity:SCV)検査とに大別されます。

主な所見

  • 軸索変性の異常所見がみられます。

  • 複合筋活動電位(運動神経を刺激して誘導された電位:CMAP)よりも、感覚神経活動電位(感覚神経を刺激して誘導された電位:SNAP)が先に低下しま1

軸索変性がある場合の複合筋活動電位(CMAP)の異常所2

正常
遠位部の刺激と近位部の刺激から記録した活動電位の波形に変化を認めない。
正常な複合筋活動電位(CMAP)
軸索変性
変性の起こっていない神経線維のみ活動電位が発生するため、記録される複合筋活動電位の振幅は低下する。
潜時はほぼ正常である。
軸索変性がある場合の複合筋活動電位(CMAP)

評価頻度(目安)

  • ベースライン時、その後は12ヵ月に1回

評価上のポイント

  • 神経伝導検査では、CMAPの振幅(測定神経は脛骨神経や尺骨神経等)が最も病勢を反映すると考えられています。

引用文献

  1. Kodaira M, Morita H, Shimojima Y, et al. Amyloid. 2011;18(1):10-18.
  2. 日本臨床衛生検査技師会 監修. 神経生理検査技術教本. 東京: じほう; 2015:150-162. を参考