- 監修
- 関島 良樹 先生
(信州大学医学部 神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)
心臓 血液検査：高感度心筋トロポニンT/I
心筋の損傷により心臓から循環血中に放出される血清バイオマーカーであり、心筋の壊死を伴う心筋障害の指標となります。
主な所見
持続的上昇
ATTR心アミロイドーシスの経時的進行に伴う臨床パラメータの推移1
- Mayoステージ
-
- ステージ1
- 心筋トロポニンT＜0.05ng/mLかつNT-proBNP＜3,000pg/mL
- ステージ2
- 心筋トロポニンT＜0.05ng/mLまたはNT-proBNP＜3,000pg/mL
- ステージ3
- 心筋トロポニンT≧0.05ng/mLかつNT-proBNP≧3,000pg/mL
- NACステージ
-
- ステージ1
- eGFR≧45mL/minかつNT-proBNP≦3,000pg/mL
- ステージ2
- eGFR≧45mL/minまたはNT-proBNP≦3,000pg/mL
- ステージ3
- eGFR＜45mL/minかつNT-proBNP＞3,000pg/mL
評価頻度(目安)
ベースライン時、その後は6ヵ月に1回(ただし、心アミロイドーシスがある場合は、3ヵ月に1回評価することが好ましい)
参考情報
高感度心筋トロポニンTの基準範囲：0.014ng/mL以下2
急性心筋梗塞患者576例におけるROC曲線により算出した高感度心筋トロポニンTのカットオフ値は0.1ng/mLです2。
心筋トロポニンT、NT-proBNP、eGFRに基づいたATTR心アミロイドーシスのステージ分類では、ステージが進行すると生存期間は短くなることが報告されています3,4。
ATTR心アミロイドーシスステージ分類別の生存期間3,4
| Mayoステージ3 | NACステージ4 | |||
|---|---|---|---|---|
| パラメータ | 生存期間 (中央値) |
パラメータ | 生存期間 (中央値) |
|
| ステージ 1 |
心筋トロポニンT＜0.05ng/mL かつ NT-proBNP＜3,000pg/mL |
66ヵ月 | eGFR≧45mL/min かつ NT-proBNP≦3,000pg/mL |
69.2ヵ月 |
| ステージ 2 |
心筋トロポニンT＜0.05ng/mL または NT-proBNP＜3,000pg/mL |
40ヵ月 | eGFR≧45mL/min または NT-proBNP≦3,000pg/mL |
46.7ヵ月 |
| ステージ 3 |
心筋トロポニンT≧0.05ng/mL かつ NT-proBNP≧3,000pg/mL |
20ヵ月 | eGFR＜45mL/min かつ NT-proBNP＞3,000pg/mL |
24.1ヵ月 |
引用文献
- Translated by permission from Springer Science+Business Media, LLC,: Springer Nature. Curr Heart Fail Rep. Disease-Specific Biomarkers in Transthyretin Cardiac Amyloidosis, Hendren NS, Roth LR, Grodin JL. 17(3):77-83. ©2020
- ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社. エクルーシス試薬トロポニンT hs(コバス システム) 添付文書(2021年5月改訂 第13版)
- Grogan M, Scott CG, Kyle RA, et al. J Am Coll Cardiol. 2016;68(10):1014-1020.
- Gillmore JD, Damy T, Fontana M, et al. Eur Heart J. 2018;39(30):2799-2806.
