監修
関島 良樹 先生
(信州大学医学部 神経内科、リウマチ・膠原病内科 教授)

心臓 心エコー検査:ドプラ心エコー法、組織ドプラ心エコー法

心臓内の血流の方向速度を評価します。

主な所見1

  • 僧帽弁血流E/A比の上昇

  • 肺静脈血流S/D比の低下

  • 心室中隔で拡張早期僧帽弁輪移動速度e’の低下

  • E/e’(左室充満圧の指標)の上昇

評価頻度(目安)

  • ベースライン時、その後は12ヵ月に1回(ただし、心アミロイドーシスがある場合は、6ヵ月に1回評価することが好ましい)

評価上のポイント

  • 病状の進行とともに、左室流入速波形は正常ないしは異常拡張障害パターンから拘束性障害に変化しま1,2

  • ドプラ法による左室拡張指標は心アミロイドーシスの予後予測因子であり、僧帽弁血流の早期拡張波減衰時間<150ms(拘束性障害)は心予後不良を示唆しま1,3

参考情報

  • 日本人の健康成人(20~79歳、700例)を対象に、心エコー計測で得られた各パラメータの基準値は以下の通りでし4

日本人健康成人(20~79歳、700例)における心エコー計測での基準値(多施設共同研究JAMP study)4

  男性 女性
僧帽弁流入
パラメータ
E (cm/s) 70±15 80±16
A (cm/s) 52±15 54±16
E/A 1.5±0.5 1.6±0.6
組織ドプラ像僧帽弁輪
(中隔側)
e’ (cm/s) 10.0±2.8 10.8±3.2
a’ (cm/s) 9.2±2.1 8.2±2.4
E/e’ 7.4±2.2 7.9±2.2
組織ドプラ像僧帽弁輪
(側壁側)
e’ (cm/s) 13.5±3.9 13.7±4.1
a’ (cm/s) 9.0±3.0 8.3±2.7
E/e’ 5.5±1.8 6.2±1.8

平均値±SD

Daimon M, Watanabe H, Abe Y, et al. Circ J. 2008;72(11):1859-1866. より改変

引用文献

  1. 日本循環器学会. 2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2020_Kitaoka.pdf(2021年12月閲覧)
  2. Klein AL, Hatle LK, Taliercio CP, et al. J Am Coll Cardiol. 1990;16(5):1135-1141.
  3. Klein AL, Hatle LK, Taliercio CP, et al. Circulation. 1991;83(3):808-816.
  4. Daimon M, Watanabe H, Abe Y, et al. Circ J. 2008;72(11):1859-1866. より改変