- 監修
- 増田 曜章 先生
(大分大学医学部附属病院 脳神経内科 講師)
消化管/自律神経 COMPASS 31
自律神経機能を評価します。
概要
COMPASS 31は自律神経機能(起立不耐性、血管運動、分泌運動、胃腸、膀胱、および瞳孔運動)の包括的な評価を行うための31項目の質問票です1。
起立不耐性(0~40点)、血管運動(0~5点)、分泌運動(0~15点)、胃腸(0~25点)、膀胱(0~10点)、瞳孔運動(0~5点)の6つのドメインから構成され、これらのドメインの合計スコア(0~100点)が高いほど症状が重いことを示します1。
主な所見
スコアの上昇
評価頻度(目安)
ベースライン時、その後は12ヵ月に1回
評価上のポイント
-
遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)患者において、COMPASS 31スコアは、Sudoscanによる電気的皮膚コンダクタンス(ESC)※と相関が認められなかったものの、神経障害スコア(NIS)とは正の相関を示したことが報告されています2。
- 電気的皮膚コンダクタンス(ESC)
- 交感神経系の活動によって起こる汗腺活動の変化を示す。
参考情報
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COMPASS 31スコアは、健康者と比べて、自律神経症状を呈する疾患で上昇することが報告されています3。
COMPASS 31スコア3
COMPASS 31 スコア(平均値) |
|
---|---|
健康者(n=30) | 8.9 |
全身性強皮症(n=104) | 24.9 |
線維筋痛症(n=30) | 27.5 |
糖尿病性多発 ニューロパチー(n=29) |
28.9 |
小経線維 ニューロパチー(n=66) |
30.2 |
-
APOLLO試験に参加した遺伝性ATTRアミロイドーシス(FAP)患者(n=225)のCOMPASS 31スコアのベースライン平均値は30.5でした4。
COMPASS 31スコア算出方法
下記の表をもとに、1)~3)の手順でスコアを算出します1。
ドメイン | 重み付け前の ドメインスコア(A) |
重み付け係数(B) | 重み付け後の ドメインスコア(C) |
---|---|---|---|
起立不耐性(質問1~4) | 0 ~ 10点 | 4.0 | 0 ~ 40点 |
血管運動(質問5~7) | 0 ~ 6点 | 0.83333333 | 0 ~ 5点 |
分泌運動(質問8~11) | 0 ~ 7点 | 2.1428571 | 0 ~15点 |
胃腸(質問12~23) | 0 ~ 28点 | 0.8928571 | 0 ~ 25点 |
膀胱(質問24~26) | 0 ~ 9点 | 1.1111111 | 0 ~ 10点 |
瞳孔運動(質問27~31) | 0 ~ 15点 | 0.3333333 | 0 ~ 5点 |
合計スコア(D)
0 ~ 100点
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31の質問から得られた点数を6つのドメインごとに合計します(A)。
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各ドメインスコア(A)にそれぞれの重み付け係数(B)を掛けて、重み付け後のドメインスコアを出し、小数点以下を切り上げます(C) 。
例 ・起立不耐性(質問1~4の合計) ・起立不耐性(質問1~4の合計) □点 (A) × 4.0 (B) = △点 (C) ・血管運動(質問5~7の合計) ・血管運動(質問5~7の合計) □点 (A) × 0.83333333 (B) = △点 (C) ・分泌運動(質問8~11の合計) ・分泌運動(質問8~11の合計) □点 (A) × 2.1428571 (B) = △点 (C) …… -
重み付け後の各ドメインスコア(C)を合計したスコア(D)がCOMPASS 31スコアとなります。
COMPASS 31スコア評価シート
エクセル版では、合計スコアを自動的に算出することができます。
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引用文献
- Adapted from Mayo Clin Proc., 87(12), Sletten DM, Suarez GA, Low PA, et al. COMPASS 31: A Refined and Abbreviated Composite Autonomic Symptom Score., 1196-1201., Copyright (2012) Mayo Foundation for Medical Education and Research, with permission from Elsevier. https://www.sciencedirect.com/journal/mayo-clinic-proceedings
- Conceição I, de Castro I, Castro J. Amyloid. 2019;26(sup1):23.
- Adler BL, Russell JW, Hummers LK, et al. J Rheumatol. 2018;45(8):1145-1152.
- González-Duarte A, Berk JL, Quan D, et al. J Neurol. 2020;267(3):703-712. (本試験はAlnylam Pharmaceuticalsの支援により実施された)